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メキシコ留学の語学学校の選び方|7都市と5校を比較【2026年】

公開 /執筆 マリアナ(スペイン語・日本語バイリンガル講師)

「メキシコでスペイン語を学びたいけれど、どの都市の、どの学校を選べばいいのか分からない」。メキシコ留学を調べ始めた人がまず迷うのがここです。スペインに比べると日本語の情報が少なく、治安が心配で踏み出せない人も多いと思います。

結論から言うと、大学の環境でしっかり学びたい人はメキシコシティかグアダラハラの大学付属コース、少人数で文化にどっぷり浸かりたい人はオアハカやプエブラの民間校、海のそばで学びたい人はプラヤ・デル・カルメンが選びやすい候補です。どの都市でも、外務省の危険情報を確認し、学校が中心部にあり、ホームステイ先まで歩いて通えるかを重視してください。

私は日本語話者にスペイン語を、スペイン語話者に日本語をオンラインで教えている講師です。この記事では、都市の特徴と治安面の注意を外務省の海外安全ホームページの情報にもとづいて整理し、各校の公式サイトで確認できた授業形態や料金(2026年10月時点)を比較します。費用の総額や内訳はスペイン留学・メキシコ留学の費用で詳しく扱っているので、ここでは「どこで、どんな学校を選ぶか」に絞ります。

結論:目的別に選ぶ都市と学校のタイプ

先に、目的別の考え方をまとめます。

目的候補の都市学校のタイプ
大学の環境で、体系的に学びたいメキシコシティ、グアダラハラ大学付属の外国人向けコース
少人数クラスで、短期間に集中したいオアハカ、プエブラ民間の語学学校(毎週月曜開始が多い)
伝統文化や祭りも体験したいオアハカ、グアナフアト文化ワークショップ付きの学校
海の近くで、リゾートの雰囲気の中で学びたいプラヤ・デル・カルメン国際的なチェーン校
治安情報を最優先に、落ち着いた街で学びたいメリダ民間の語学学校(学校情報は自分で要確認)

学校のタイプは、大きく分けて次の2つです。

  • 大学付属コース:開講日が決まっている、1コースの時間数が長い、修了証や単位の扱いがしっかりしている
  • 民間の語学学校:毎週月曜から1週間単位で始められる、少人数クラス、ホームステイや文化活動の手配まで学校が行う

1〜4週間の短期なら民間校、2か月以上じっくり学ぶなら大学付属コースも候補に入れる、という分け方がわかりやすいと思います。

メキシコ語学留学の都市を比較(7都市)

都市の比較表

外務省は、2026年4月8日にメキシコの危険情報を更新しています。下の表の危険レベルはその時点の内容です。危険レベルは変わることがあるので、出発前と滞在中に必ず最新の情報を確認してください。

都市(州)街の特徴外務省の危険レベル(2026年4月8日発出)向いている人
メキシコシティ(メキシコ市)首都。大学・博物館が集まる大都市レベル1(十分注意)大学で学びたい、都会の生活がしたい
グアダラハラ(ハリスコ州)第2の都市圏。大学付属の歴史あるコースがあるレベル1(州南部の一部はレベル2)大学の環境と生活のしやすさを両立したい
オアハカ(オアハカ州)先住民文化と食文化が豊か。語学学校が多いレベル1文化体験と少人数クラスを重視
プエブラ(プエブラ州)コロニアル様式の歴史地区。首都から近いレベル1ホームステイ込みのプログラムで集中したい
グアナフアト(グアナフアト州)坂と路地の世界遺産の街。学生が多いレベル1(州南部の一部はレベル2)小さな街で落ち着いて学びたい
メリダ(ユカタン州)ユカタン半島の州都。マヤ文化の拠点危険情報の対象地域に挙げられていない治安情報を重視したい
カンクン/プラヤ・デル・カルメン(キンタナ・ロー州)カリブ海のリゾートレベル1海の近くで学びたい

外務省の危険レベルで「レベル1」は「十分注意してください」、「レベル2」は「不要不急の渡航は止めてください」という意味です。ユカタン州は危険情報の対象地域として挙げられていませんが、犯罪がないという意味ではありません。外務省の安全対策基礎データ(2026年2月9日更新)は、メキシコ全土で強盗や窃盗の被害に日本人も遭っていると注意を呼びかけています。

メキシコシティ

首都で、メキシコ国立自治大学(UNAM)の外国人向けスペイン語センター(CEPE)など、大学付属のコースがあります。博物館や美術館が多く、学びの選択肢が広いのが魅力です。標高2,000mを超える高地にあるので、到着後の数日は体調に気をつけましょう。

治安面では、外務省の危険情報が、ソカロ(憲法広場)北側のテピート地区には立ち入らないよう求めています。比較的安全といわれるポランコ地区やソナ・ロサ周辺でも、日中に犯罪が発生しているとされます。デモや抗議活動も日常的に行われているため、近づかないようにしましょう。

グアダラハラ

メキシコ第2の都市圏で、グアダラハラ大学が「Colegio de Español y Cultura Mexicana(CECM)」という外国人向けのスペイン語センターを運営しています。大都市でありながら、首都よりも生活の規模が小さく感じられる街です。

ハリスコ州は州全体としてはレベル1ですが、2026年4月の更新で、トマトラン市やチャパラ湖などを含む州南部の地域がレベル2に引き上げられました。2026年2月には、犯罪組織の最高幹部が殺害されたことをきっかけに、ハリスコ州や周辺の州で道路の封鎖や放火などが発生したと外務省がスポット情報で伝えています。週末の小旅行で湖のほうへ足を延ばす場合は、範囲を外務省の地図で確認してください。

オアハカ

色鮮やかな街並みと、先住民の文化、食文化で知られる観光都市です。語学学校が多く、少人数クラスと文化ワークショップを組み合わせたプログラムが見つけやすい街です。

外務省は、オアハカ州では全般的に治安の悪い状況が続いていること、教員組合の抗議活動による道路封鎖がたびたびあること、夜行の高速バスで日本人が強盗に遭った事例があることを挙げています。陸路で向かう場合は昼間に有料高速道路を使うよう案内されているので、首都からの移動は飛行機を基本に考えるのが安心です。

プエブラ

メキシコシティから近く、コロニアル様式の歴史地区が残る街です。ホームステイや送迎、遠足までを一体にしたプログラムを提供する学校があります。

外務省によると、プエブラ州は人口10万人あたりの強盗被害が州別で3位と高く、増加傾向にあるとされています。国道を車で移動中にタイヤをパンクさせられて強盗に遭う被害も散発しているため、移動は日中に、学校の送迎や信頼できる交通手段を使いましょう。

グアナフアト

坂と路地が入り組んだ世界遺産の街で、大学があり学生の多い雰囲気です。小さな街で落ち着いて学びたい人に合います。

グアナフアト州は、セラヤ市とサラマンカ市を含む州南部の地域がレベル2、それ以外の地域はレベル1です。州内のレオン市などでも強盗の発生率が横ばいで推移していると外務省は伝えています。周辺の町へ出かける前には、行き先が危険レベル2の範囲に入っていないかを確認してください。なお、グアナフアト州のレオン市には在レオン日本国総領事館があります。

メリダ

ユカタン半島の州都で、マヤ遺跡やセノーテ(泉)へ出かけやすい街です。2026年4月8日発出の危険情報では、ユカタン州は危険レベルの対象地域に挙げられていません。気温が高い地域なので、暑さが苦手な人は時期を選ぶとよいでしょう。

メリダにも語学学校はありますが、本記事の確認時点では、各校の料金を公式サイトで確認できなかったため、比較表には入れていません。

カンクン/プラヤ・デル・カルメン

カリブ海に面したリゾート地です。プラヤ・デル・カルメンには国際的な語学学校チェーンの学校があり、ヨーロッパや北米から来る学生も多い環境です。

外務省は、キンタナ・ロー州のカンクンについて、過去にホテル内やビーチで銃撃戦が起き利用客が巻き込まれた事案や、観光客へのタクシー・ツアーの不正請求があったと注意しています。リゾートの雰囲気で気がゆるみやすいからこそ、夜の行動には気をつけましょう。

どの都市でも共通する安全対策

外務省の安全対策基礎データと危険情報から、留学生活に関わるポイントを抜き出します。

  • 都市間の移動は、できるだけ飛行機で。 陸路なら昼間に有料高速道路を使う
  • 流しのタクシーは使わない。 配車アプリや予約制のタクシーを使い、ナンバーと運転手を確認してから乗る
  • 夜間の外出や単独行動は避ける。 スマートフォンや財布をむやみに見せない
  • パスポートとFMM(後述)は原本を携帯する。 コピーを見せて当局に拘束された例がある
  • SNSで行動予定を発信しない
  • 3か月未満の滞在なら外務省の「たびレジ」に登録し、3か月以上なら「在留届」を提出する

学校を選ぶときは、学校とホームステイ先が歴史地区(セントロ)の中や近くにあり、歩いて通えるかを確認すると、毎日の移動のリスクを減らせます。

語学学校の選び方:5つのチェックポイント

講師として留学前の学習者の相談に乗る立場から、学校のパンフレットで特に見てほしいポイントを5つに絞りました。

1. 認定や大学との関係

スペイン語教育の質を外から確かめる目安として、スペインの公的機関**インスティトゥト・セルバンテス(Instituto Cervantes)の認定校(Centro Acreditado)**かどうかがあります。たとえばグアダラハラ大学のCECMは、公式サイトで2014年から認定校であると案内しています。大学付属のコースは、修了証の発行や単位認定の実績が明記されていることが多く、日本の大学で単位にしたい人は確認しておきましょう。

民間校の場合は、認定の有無だけでなく、レベル分けがヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR:A1〜C2の6段階)にもとづいているか、初日にレベル分けテストがあるかを見ると、授業の組み立てが想像しやすくなります。

2. クラスの人数と授業時間

同じ「週20時間」でも、6人のクラスと15人のクラスでは、1人あたりの発話量がまったく違います。少人数クラスの学校は、最大人数を公式サイトに書いていることが多いので必ず確認しましょう。

また、初級のうちは午前にグループ授業、午後にマンツーマンのような組み合わせが効果的だと私は考えています。グループで新しい文法を学び、マンツーマンで実際に口に出して使う、という流れが作れるからです。

3. 開講日とコースの長さ

民間校は「毎週月曜スタート、1週間単位」のところが多く、日程の自由がききます。一方、大学付属コースは開講日が決まっていて、1コースが数週間あります。休暇の日程が決まっている社会人は、開講日に合わせられるかを先に確認してください。

4. ホームステイの条件

メキシコの語学学校の多くは、ホームステイを手配しています。確認したいのは次の点です。

  • 個室か相部屋か
  • 食事は何食付きか(朝食のみ、2食、3食)
  • 学校から歩いて何分か
  • 料金は1日単位か、週単位か、プログラムに込みか

ホームステイは、家族との会話がそのまま生きた練習になります。教室で習った表現を夕食の席で使ってみる、という繰り返しが、留学の効果を大きく左右すると私は考えています。

5. アクティビティと「インテルカンビオ」

文化ワークショップ(料理、ダンス、歴史など)や遠足があるかも比べましょう。特に注目したいのが**インテルカンビオ(intercambio:言語交換)**です。スペイン語を学ぶ留学生と、外国語を学ぶ地元の人が会話する仕組みで、授業の外で同世代の友人を作るきっかけになります。

実在する語学学校5校を比較(2026年10月時点)

ここでは、公式サイトで授業形態や料金を確認できた5校を比較します。いずれも2026年10月22日に確認した内容です。料金ページの年度表示が古い学校もあるため、申し込み前に必ず最新の見積もりを取ってください。円換算は、費用の記事と同じく三菱UFJ銀行が公表した2026年10月20日の仲値(1米ドル=約159円、1メキシコペソ=約8.6円)で計算しています。

比較表

学校(都市)タイプ授業の形料金の例滞在
CEPE-UNAM(メキシコシティ)大学付属対面の集中コース126時間。開講日固定2026年秋期(10/21〜12/8)MXN 17,360(約15万円)。入学手続き・教材・SIELE S1受験クーポン込み宿泊案内のサイトあり(料金は未確認)
CECM グアダラハラ大学(グアダラハラ)大学付属1コース40時間。1日2〜5時間など6通りの受け方対面1コースUSD 530〜610(約8.4万〜9.7万円)、教材費別。料金ページの表題は「Fees 2024」ホームステイ(朝食付き)2週間で個室USD 600、相部屋USD 510
Instituto Cultural Oaxaca(オアハカ)民間週20時間。通常2〜6人、最大8人。毎週月曜開始週20時間コース4週USD 760(約12万円)、文化ワークショップ付き4週USD 880(約14万円)ホームステイ個室1日USD 32〜49(食事の数による)
Spanish Institute of Puebla(プエブラ)民間週30時間。午前はグループ(最大6人)、午後はマンツーマン2時間。1レベル3週間3週間USD 2,195(約35万円)でホームステイ3食・空港送迎込み。滞在なしならUSD 1,645プログラムにホームステイ込み
don Quijote(プラヤ・デル・カルメン)国際チェーン週15〜30レッスンの集中コースなど。最大8人公式サイトの見積もりで確認(料金表を確認できず)ホームステイ、学生寮、シェアアパート

※為替や学校の改定で金額は変わります。授業料以外の費用(航空券、保険、生活費)は含みません。

CEPE-UNAM(メキシコシティ)

メキシコ国立自治大学の外国人向けスペイン語センターです。2026年秋期の対面集中コースは126時間で、スペイン語の授業に加えて、スペイン語の練習クラスと、メキシコの歴史・美術・文学から選ぶ文化の授業を組み合わせる構成と案内されています。教科書と、スペイン語の検定試験SIELEの一部(読解・聴解)を受験できるクーポンが料金に含まれているのも特徴です。

  • 向いている人:開講日に合わせて2か月前後まとまった期間をとれる人、大学のキャンパスで学びたい人
  • 向いていない人:1〜2週間だけ学びたい人、好きな週から始めたい人

CECM グアダラハラ大学(グアダラハラ)

1コース40時間を、「1日5時間×2週間」「1日2.5時間×4週間」などから選べる柔軟さが特徴です。初級から上級まで12段階のレベルがあり、受講者数にかかわらず全レベルを開講すると公式サイトで明言しています。DELEの試験会場でもあり、DELE対策コースもあります。

  • 向いている人:働きながら・観光しながら、1日の授業時間を調整したい人、DELE受験も視野に入れている人
  • 向いていない人:最新の料金が公式ページに出ていることを重視する人(料金ページの表題が2024年のため、見積もりが必要)

Instituto Cultural Oaxaca(オアハカ)

1984年からスペイン語を教えている学校で、毎週月曜に始められます。授業は朝の4時間で、文化ワークショップ付きのプログラムなら午後に料理やダンスなどのワークショップとインテルカンビオが加わります。クラスは通常2〜6人、繁忙期でも最大8人と案内されています。

  • 向いている人:1週間から数週間の短期留学、少人数で話す量を確保したい人、文化体験も重視する人
  • 向いていない人:大学の修了証が必要な人

Spanish Institute of Puebla(プエブラ)

1日6時間・週30時間の集中型で、午前のグループ授業(最大6人)と、午後のマンツーマン会話(2時間)を組み合わせています。ホームステイ(3食付き)、プエブラ空港の送迎、テオティワカンやチョルーラへの遠足、修了式までが料金に含まれるパッケージ型です。

  • 向いている人:手配をまとめて任せたい人、短期間でとにかく話す時間を増やしたい人
  • 向いていない人:自分のペースで観光もしたい人(1日6時間の授業は体力が要ります)、費用を細かく削りたい人

don Quijote(プラヤ・デル・カルメン)

スペインと中南米に学校を持つ語学学校チェーンのプラヤ・デル・カルメン校です。ビーチまで徒歩10分ほどで、熱帯の庭にある教室で学ぶ環境と紹介されています。クラスは最大8人、ホームステイ・学生寮・シェアアパートから滞在先を選べます。料金は公式サイトの見積もりで確認する形でした。

  • 向いている人:海の近くで学びたい人、世界各国の学生と知り合いたい人
  • 向いていない人:地元の人とスペイン語だけで過ごす環境を求める人(観光地のため英語が通じる場面も多い)

ビザと入国手続き(180日以内・FMM)

ビザの条件は変わることがあります。ここでは外務省の安全対策基礎データ(2026年2月9日更新)の内容をもとに概要を紹介します。最新の情報は、駐日メキシコ大使館で必ず確認してください。

180日以内なら原則ビザ不要

日本とメキシコの査証免除の取り決めにより、日本国籍の人が観光などの目的(報酬を受ける活動を除く)で180日以内滞在する場合、ビザは不要です。短期の語学留学もこの範囲で考えるのが一般的です。

ただし、注意点が2つあります。

  • 滞在できる日数は、入国審査官が決めます。 入国時にパスポートの入国印の下に許可日数が手書きされます。滞在目的や帰りの便の日付などで判断され、必ずしも180日が許可されるとは限りません
  • ビザなしで入国した場合、その期間(180日)は延長できません

入国審査では、帰りの便のEチケット、滞在先の住所、日程表などを見せられるようにしておくよう案内されています。語学留学なら、学校の入学許可書(受講の確認書)とホームステイ先の住所も印刷して持っておくと安心です。

FMM(入国の記録)の扱い

FMM(Forma Migratoria Múltiple)は、メキシコの入国記録にあたる書類です。外務省の案内では、空路で入国する場合の扱いは次のようになっています。

  • 有人の審査ブース:パスポートに入国印と滞在許可日数が記入される。紙のFMMが必要な場合は、入国から60日以内にメキシコ国家移住庁(INM)のサイトでアカウントを作って印刷できる
  • 自動化ゲート(観光目的のみ):入国印は押されず、滞在期限などが書かれたレシートが出る。レシートを出国まで保管し、記載のURLから電子版のFMM(FMMD)をダウンロードして印刷・保管する

FMMDのサイトやQRコードは、日本語設定のパソコンやスマホではアクセスできないため、言語設定をスペイン語に変えて使うよう案内されています。滞在中は、パスポートとFMMの原本を携帯するよう求められている点も覚えておきましょう。

180日を超えて学ぶ場合

180日を超えて滞在する場合は、メキシコに入国する前に、メキシコ大使館・領事館でビザを取得する必要があります。長期の語学留学では、学生として滞在するための一時居住者ビザが必要になります。書類や手順は変わることがあるため、駐日メキシコ大使館の情報を確認するか、ビザの申請サポートがあるエージェントに相談しましょう。

メキシコのスペイン語の特徴(スペインとの違い)

メキシコのスペイン語は、スペインのスペイン語と文法の骨組みは同じです。ただ、発音・単語・言い回しにはっきりした違いがあります。基本の単語の違い(車、携帯電話など)はスペイン旅行で使えるスペイン語フレーズ集の表にまとめたので、ここでは留学生活で気づきやすいポイントを紹介します。

発音:「z」「ce」「ci」も「s」の音

スペインの中部・北部では、z や ce・ci を英語の th に近い音で発音します。メキシコでは、これらを s と同じ音で発音します。たとえば gracias(ありがとう)は「グラシアス」です。日本人には聞き取りやすく、発音しやすいと感じる人が多いと思います。

また、México(メキシコ)の x は「ハ行」の音で「メヒコ」と読みます。Popocatépetl(ポポカテペトル山)のように、先住民の言語ナワトル語から来た「tl」を含む地名も多く、慣れると読めるようになります。

文法:vosotros を使わず、過去形の使い方も違う

メキシコでは「あなたたち」に vosotros を使わず、親しい相手にも ustedes を使います。

  • ¿Ustedes van a la fiesta?(あなたたちはパーティーに行く?)
  • スペインなら ¿Vosotros vais a la fiesta? と言うことが多い

日本で学ぶ教科書の多くは vosotros の活用も教えますが、メキシコで話すときは ustedes の形(動詞は3人称複数)だけで通じます。**vosotros は「聞いて分かれば十分」**と割り切ると、学習の負担が軽くなります。

もう一つ、講師として違いを説明することが多いのが、「今日〜した」の言い方です。

  • Hoy comí tacos.(今日はタコスを食べた。)…メキシコでよく使う点過去
  • Hoy he comido tacos.(今日はタコスを食べた。)…スペインでよく使う現在完了

スペインでは「今日」のように現在とつながる時間には現在完了を使う傾向がありますが、メキシコでは点過去で言うことが多いです。どちらも間違いではなく、地域による好みの違いです。

単語:留学生活でよく出会うメキシコらしい言葉

メキシコスペイン意味
departamentopisoアパート、マンション
rentaralquilar借りる・貸す
cuadramanzana(街の)ブロック、区画
popotepajitaストロー
lentesgafas眼鏡
platicarcharlarおしゃべりする

例文で確認しておきましょう。

  • Estoy buscando un departamento para rentar.(借りられるアパートを探しています。)
  • La escuela está a dos cuadras.(学校は2ブロック先です。)
  • ¿Me das un popote, por favor?(ストローをもらえますか?)
  • Vamos a platicar un rato.(少しおしゃべりしよう。)

会話:覚えておくと便利な表現

  • ¿Mande?(はい?/何とおっしゃいましたか?)…聞き返すときや、呼ばれて返事をするときの丁寧な言い方
  • Ahorita lo hago.(すぐにやります。)…ahorita は「今すぐ」の意味ですが、文脈によっては「あとで」の意味にもなる、メキシコらしい言葉
  • ¡Qué padre!(いいね!/すごい!)…padre は本来「父」ですが、くだけた会話では「すてきな」の意味で使われる
  • ¡Provecho!(どうぞ召し上がれ。)…食事中の人に声をかけるあいさつ
  • Con permiso.(失礼します/通してください。)…人の前を通るときや席を立つとき

ahorita や -ito をつけた言い方(cafecito:コーヒー一杯)など、語尾を小さくして柔らかくする表現が多いのもメキシコのスペイン語の特徴です。ホームステイ先でこうした言い方を耳にしたら、意味を聞いてメモしておくと、生きた表現が増えていきます。

エージェント経由と直接申し込みの違い

メキシコの語学学校は、多くが英語やスペイン語の公式サイトから直接申し込めます。一方で、日本語でサポートを受けられるエージェントを使う方法もあります。

比べる点エージェント経由直接申し込み
やり取りの言語日本語英語またはスペイン語
学校選び都市・学校を比較して提案してもらえる自分で調べて比べる
手続き申し込み、滞在先、送金、ビザの相談などをまとめて任せられるすべて自分で行う
費用サポート料や送金手数料の条件をエージェントごとに確認学校への授業料と送金手数料のみ
トラブル時日本語で相談できる学校と直接交渉

選び方の目安は次のとおりです。

  • エージェントが向いている人:初めての海外長期滞在の人、スペイン語・英語でのやり取りに不安がある人、180日を超える留学でビザが必要な人
  • 直接申し込みが向いている人:1〜4週間の短期で、行きたい学校が決まっている人、英語かスペイン語でメールのやり取りができる人

メキシコ留学を扱う日本のエージェントとしては、スパコムがあります。公式サイトのメキシコ留学ページでは、メキシコシティ、オアハカ、プラヤ・デル・カルメンを留学先の都市として紹介し、短期留学、180日以上の長期留学(学生ビザが必要)、大学が開講するスペイン語コース、ホームステイなどの相談に対応しています(2026年10月時点)。スペイン留学と比較しながら検討したい人にも相談しやすいでしょう。サポート料の条件は費用の記事でも紹介しています。

出発前に準備すること(送金・通信・航空券・スペイン語)

授業料の支払いと送金

学校に直接申し込む場合、授業料は米ドルかメキシコペソで支払うことが多くなります。今回確認した学校でも、クレジットカード、銀行送金、PayPal、現地での現金払い(ペソ)など支払い方法はさまざまでした。グアダラハラ大学のCECMは、銀行送金の場合に送金元の銀行の手数料分として25米ドルを上乗せするよう案内しています。

海外送金は、手数料のほかに為替レートの上乗せがあるため、総額で比べることが大切です。Wise(ワイズ)は、送金前に手数料と受取額を表示する海外送金サービスです。学校がどの通貨・どの口座で受け取るかを確認し、Wiseの見積もり画面で送金先の通貨に対応しているかを確かめてから使いましょう。

また、外務省によると、メキシコでは銀行で両替ができず、市内や空港の両替所で1日あたり500米ドル相当まで両替できるとされています(ホテルで両替できる場合もあり、身分証明書が必要)。現金を大量に持ち歩くのは避け、支払い方法を事前に組み立てておくと安心です。

通信

到着した空港から配車アプリを使うことを考えると、入国した瞬間からスマホが使える状態にしておくのが理想です。短期なら、出発前に日本で買える海外eSIMが便利です。AiraloやHolaflyにはメキシコ向けのプランがあります。料金や「無制限」プランの注意点はメキシコ・中南米・スペインのeSIMの選び方にまとめました。長期なら現地SIMも選択肢です。

航空券と最初の宿

日本からの便は、メキシコシティを経由して各都市へ国内線で乗り継ぐのが一般的です。外務省は都市間の陸路移動に強盗や誘拐の危険が伴うとして、できるだけ飛行機を使うよう勧めています。航空券は、エクスペディアなどで国際線と国内線の乗り継ぎ時間を比べながら探すと、全体の流れが組み立てやすくなります。

ホームステイの開始日より前に着く場合や、乗り継ぎで1泊する場合は、空港から近く、送迎のあるホテルを選ぶと安心です。夜遅い到着は避けられるなら避けましょう。

スペイン語の準備

出発前に、少なくとも簡単な自己紹介と日常の受け答えができるA1〜A2レベルまで進めておくと、現地の授業が理解しやすくなり、ホームステイでの会話もぐっと楽になります。独学の進め方はスペイン語独学ロードマップ、オンラインレッスンの選び方はスペイン語オンラインレッスンの比較を参考にしてください。

メキシコに行くと決めているなら、メキシコ出身の講師から習っておくと、発音や ustedes の使い方に早くから慣れることができます。講師の出身国で絞り込めるitalkiの講師の選び方は、italkiのスペイン語講師の選び方で解説しています。留学の成果を形に残したい人は、DELE A2の対策やDELE B1・B2の勉強法も目標づくりに役立ちます。

まとめ

メキシコの語学留学は、都市と学校のタイプの組み合わせで考えると選びやすくなります。

  • 大学で体系的に:メキシコシティ(CEPE-UNAM)、グアダラハラ(CECM)
  • 少人数で集中・文化体験も:オアハカ(Instituto Cultural Oaxaca)、プエブラ(Spanish Institute of Puebla)
  • 海の近くで:プラヤ・デル・カルメン(don Quijote)
  • 治安は外務省の危険情報(2026年4月8日発出)を確認し、学校とホームステイ先が中心部にあり歩いて通えるかを重視する
  • 日本国籍なら180日以内は原則ビザ不要。ただし許可日数は入国審査で決まり、延長はできない
  • メキシコのスペイン語は s の発音、ustedes、点過去の多用などが特徴。出発前にメキシコの発音に慣れておくと現地で困りにくい

気になる都市と期間が決まったら、次は費用の見通しを立てましょう。授業料・滞在費・航空券・保険の内訳と、1か月・3か月の目安はスペイン留学・メキシコ留学の費用で詳しく解説しています。学校選びから手続きまで日本語で相談したい人は、メキシコ留学を扱うスパコムに、希望の都市・期間・予算を伝えて相談してみてください。

主な出典(いずれも2026年10月22日確認)

この記事を書いた人:マリアナ

スペイン語・日本語バイリンガル講師

ペルー出身、東京在住26年。日本語話者にスペイン語を、スペイン語話者に日本語を教えています。大学在学中には、ペルーへ留学する学生にスペイン語を指導しました。「教える側」から見た、伸びる人の共通点と遠回りしない学び方を発信しています。

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